第６号　社会　2004.6.25

社会の勉強方法

　社会科は「暗記もの」だとよく言われます。しかし、社会を教えている教師の側から見ると、決して「暗記もの」ではありません。もちろん無条件に暗記しなければならないことはあります。しかし、ただ覚えるだけでは面白くないし、とうていすべてを丸暗記できるものではありません。その内容は膨大です。やはり理解することが必要です。
　例えば地理では、農作物と気候は関係が深いのですが、都道府県名や国名が出て、それがどこにあるのかが分かれば、気候からだいたい予想がつきます。
また歴史は因果関係が大切です。なぜ米騒動が起こったのか→米の値上がり→シベリア出兵による米の買占め→ロシア革命→第一次世界大戦中・・・とさかのぼって考えることができれば流れがつかめます。

　よく「自分は覚えるのが苦手だ。」という人がいますが、それは気持ちが負けているだけです。人間の能力なんてそんなに違うものではありません。覚えている人は苦労もせずにどんどん頭に入っているのでしょうか。きっと覚えるための努力をしているはずです。
体育の時間にやる跳び箱。「どうせ跳べない」と思って助走しても飛べません。「よし，跳んでやる」と思って走れば跳べるのです。勉強も同じこと。大切なのはできると思うこと。
あとは要領です。覚えなくてはならないことと覚えなくてもよいことの区別，どうすれば覚えやすいか，等々。これは我々が助言を与えることができます。
　例えば都道府県名を覚える時，４７も一度にはイヤになります。でも地方別に分ければ，東北地方は６県・関東地方は１都６県・中部地方は９県・近畿地方は２府５県・中国地方は５県・四国地方は４県・九州地方は８県です。あとは北海道で全部で４７。１日に１地方ずつ覚えれば１週間で覚えられることになります。
　覚えたことが増えてくるとだんだん全体が解ってきます。楽しくなってきます。もっと知りたくなります。どうせ覚えるのならそれを楽しんでしまいましょう。

　家庭での協力も必要です。今の子どもたちは世の中のことをあまりにも知らな過ぎます。言葉も知りません。多分同年齢の子供同士の付き合いしかないため、会話する相手が限られているせいでしょう。ならば親がいろんな話をしてあげるしかありません。子どもだからどうせ解らないと思わないで、大人の言葉でどんどん話してください。理解できない時には説明してあげればいいのです。
　最近、将来の目的が決まっていない子どもが多いのはこういうところにも原因があるように思います。多くの知識を与えて、それを自分で考えて、何に興味があって興味がないのか、自分は何に向いているのかを考えるチャンスを与えられていないのではないでしょうか。

　社会科は生きていくための知識です。考える教科です。決して暗記ものではありません。もっともっと「ものごとを知る」ことを楽しんで欲しいと思います。

〔森川〕