第２１号 2007.10.4
考える人，感じる人，学ぶ人 ── 気持ちの悪い光景・頭の痛い現象
最近こんな光景に出くわし，急に吐き気を感じました。一見，どこにでもいそうな普通の女子中学生４人が本部教室の駐車場の出入口の道を，自転車にのったままノロノロとふさいでいたのです。１台の車が通過する時，別段よける気配もなく平気な顔でケータイをいじっていました。４人共。運転者は不満気に彼らを見て，車中のことゆえ聞こえませんが，その表情から察するに，何か文句のようなことを言いつつ通り過ぎていきました。そのあと，すぐ私の車が出ようとしましたが，まったく無視してました｡うち３人は敷地の中に入り込んだまま出口をふさいでいるのですよ･･･。しかも，すぐ目の前にいて，車が出ると分かっているのにですよ･･･。
そこでやむなくクラクションを鳴らしたのですが，それでも不変。
一体どういうことなのでしょう。最近の子供達がヒドクなっているのは十二分にわかっているのですが，フツーの女の子が４人もいて，誰も注意をし合うことなく，ケータイの指を動かしているのです。感じたのは気味の悪い吐き気です。
教育は死んで久しいし，家庭での躾や礼儀作法教育は期待するほうが無茶になっていることも知っています。子供たちの範となるべき大人達に倫理観も，本心からの共助の心も失せて，そればかりか一体化した地域共同体がかつて，この日本には確かに存在していたことすらカケラも感じられない世の中になって，皆，自分のこと，利己的なことに血道を挙げるだけ（それを生きる力というらしい）なのもイヤというほど体験しています。
つい先頃もいろんな異常事件や異常事態が次々と起こりましたね。
安倍さんがこの程度の人なのはわかっていましたので，その点は論じたくもありません。私が許せないのは大差で彼を一国の宰相に選んだ連中の無責任な発言です。誰が反省しましたか。一人もいません。選挙で惨敗した時に今辞めるべきといった人は沢山いましたが，元々，あの人を一国の首相にしてよいとした判断については，誰も反省していません。
眼力がなかったことを恥じ入る人がいなければならぬ筈です。選挙までに責任能力がないのを窺わせる徴候は何度もあったのにそれをキャッチするセンスがまるでないのでしょう。彼らには。又は気はついていても自由に物が言えなかったのか？
社保庁職員の全国にまたがる，かつ長きにわたる年金泥棒達にも，皆さんあまり驚いた強烈な反応をしませんでしたね。それもそのはずです。過去ずっと，いつも，政治家や公務員のカネをめぐる蓄財・流用・嘘になれっこになっているからでしょう。警察の上層部が明らかに組織的に裏金づくりをしておいて，それを今もって「完全否定」しているじゃないですか。彼らが恣意的に使っているのは税金ですよ。法的に責任を問えるかはともかく，そういう事実があったことはまちがいないでしょう。しかも「シラ」を切っているのは犯罪人を追いつめ摘発するために税金でまかない雇い入れている公僕達ですよ。･･････まだまだ，いっぱいありますね。キリがないので打ち切り。
そういう現今の社会で，フツーの女の子が，彼らの未来の姿を想像したくもないあのような行動を取るのも当然かもしれません。
でも，ここからが本論です。こういう事態に直面したとき，本人達の責任を問わずに，愛をもって，優しく接し，つつみ込むような説得ができるでしょうか。不可能です。特に，仕事をもち，分刻みで働いている大人の場合，そんなゆとりはありません。だからこそ，彼らが社会で暮らしたいなら，その社会の中で守らなくてはならない最低限のルールというものがあるのです。それを身につけてないことをかばうことはできません。彼らは多分，もうそのように出来上がっています。それは家庭と大人と社会（学校も含む）の中で育った結果なのでしょう。
しかし，どういう経過があろうと彼らは立派に加害の立場に身を置いているのだし，そのことにまるで気がついてないのです。こんなとき，叱り飛ばす以外に方法があるのでしょうか。
多分，他人からこういう時，本気でしかられた経験がゼロなのだと思います。なにしろ，互いに干渉しあうことを異常に嫌う臆病な世の中になっていまいましたので。
ふと，今まで一度も考えたことのない想念が頭をもたげてきました。男女の非婚率の高さ・既婚でも子供を作らない人の増加，離婚率の増加。
もしもです，あの子達があのまま大人になり結婚し，子供を産み育てることになったとしましょう(今はたまたま女の子のことを論じていますが，男の子だって五十歩百歩です。）それが日本全国のフツーのことになっているとしましょう。
それなら，少子化も人口減少も，実は人々の集団的な潜在意識下での不安や恐れの予兆と考えると納得できるのです。そんな子供達が，さらにヒドイそんな子供達を産み育てるよりは，その数を減らすのがまだましだと･･･。
「人口減少は，日本人の潜在的な未来への恐れの結果である。」との視座。
人々が感じ，考えているより，はるかに速く，深く，心の見えぬ場所まで，病巣は浸透してしまったようです。
自分ひとりでも生き抜いていくのに精一杯なのはわかるけど，本当に目覚めた人を大至急もっと増やさない限り，日本に充実した未来なんてもうあり得なくなるでしょう。
他人のために働ける人，他人のことを思いやることのできる人があっちでも，こっちでも，どんどん育つ必要があります。
我々にその力があれば･･･。その資格があれば･･･。
＜塾長＞